IT商用利用(2)課金アプリ、電子マネーと資金決済法

    課金アプリ、電子マネーと資金決済法
    資金決済法の前法は前払式証票規制法という法律でありまして、同法はプリカの規制でしたが、ウェブ上の課金アプリ、ポイント制導入や仮想通貨ないし電子マネーが流通しているため、これを含む規制が必要となり、資金決済法という法律に改められました(平成22年4月1日施行、所轄監督官庁は金融庁)。
    資金決済法は前払式支払手段を用いる事業への規制と、資金移動業への規制の二つがあります(正確には三つ目として、資金清算業が定められていますが、こちらは一般社団法人全国銀行資金決済ネットワークが唯一の資金清算機関となりますので、本稿では除外)。これにつき、同法とウェブ上の商用サイトとの関連するポイントと対策を検討してみたいと思います。

    1前払式支払手段
    (1) 規制
    商用サイトでポイントや仮想通貨、電子マネーを購入してサービス等を受ける場合は、そのサイトは前払式支払手段を用いる事業になります。この場合、未使用残高が一定以上になると補償金の供託など各種の複雑な規制を受けることになります。
    (2) 対策
    しかし、これまでに供託等の規制に服している業者はほとんど見当たりません。というのも、法律上有効期間が6か月以内であれば規制にかからなくてよい、とされているからです(法4条2項)。そのため、この法律を意識している仮想通貨取扱い業者は、有効期間をいずれも6か月として、その規制を免れています。とはいえ、この6か月は発行時から6か月ということでありまして、例えばサイトによっては「最終利用から6か月過ぎると失効」という規約を見かけますが、正確にはこれは規制を免れておらず、問題があるということになりましょう。

    2資金移動業の規制
    (1) 規制
    銀行以外のものでも、100万円以下の為替取引であれば、登録(保証金供託も含まれる)をすればこれを行ってよい、というのが規制のポイントです(銀行法の例外規定)。逆に言いますと、サイトのポイントや電子マネーを取り扱う業者が為替取引をしていると見なされれば、登録(+供託!)をしなければならないということになります。そこで、為替取引とは何なのかが問題になりますが、この点判例(最高裁H13.3.12)によれば、銀行法の為替取引と同様に「隔地者間で直接現金を輸送せずに資金を移動する仕組みを利用して資金を移動することを内容とする依頼を受けて、これを引き受けること」とされています。要は、サイトの仕様が「資金を移動する仕組み」を有しているかが枢要な判断要素です。
    例えば、サイト上のCtoC売買で単に順送りでサイト上の仮想通貨が移動されているだけで、サイト上に電子マネーや仮想通貨の留まる期間が短期であれば「資金を移動する仕組み」があるとはいえないでしょう。他方、一定の金額をサイトにプールさせて、かなりの期間中にポイントがサイト上に溜まっている、そして、その支払についてサイト側が何らかの判断を取り入れ利用者の便宜を図りながら支払を決済しているなど、要はサイトが仮想通貨の流通に複雑な便宜を図れば図るほど、「資金を移動する仕組み」があるということになりましょう。この点の判断はケースバイケースですが、現実には相当数のサイトがそのような事業を行っているとみられます。
    (2) 対策
    しかし現実問題として、資金移動業に該当するという登録をして供託をしている業者はほとんど見られません。今後この法律が適用される(つまり金融庁からの勧告等がなされる)事態になるのかどうかが注目されます。

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    カテゴリ:Ⅳ ウェブ取引・商用利用     

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