プログラム著作権③リバースエンジニアリング(逆コンパイル)と複製

    プログラム著作権③リバースエンジニアリング(逆コンパイル)と複製

    リバースエンジニアリング(逆コンパイル)は、複製等にあたらないという意見もありますが、プログラムと著作権に関する先例となる東京地方裁判所1982年12月6日判決で示された「ソース・コードの複製物に当たるオブジェクト・コードをコピーすることは、ソース・コードの著作権を侵害したことになる」との認定を踏まえると、そこから更に逆コンパイルした場合のソースについて複製に該当すると考えられます(もちろん私的使用であれば違法ではありません)。
    また、たとえば逆コンパイルしたソースを、更にコンパイルをしたオブジェクトを商用ソフトとして利用した場合でも、同様に複製に複製を重ねただけということになりますから、これについても複製権の侵害ということになりましょう。

    それでは、オブジェクト・コードがたまたま一緒であったというだけで、ソースは別ものであった、という場合はどうでしょうか。この点はオブジェクト・コード自体が著作物になるのか、という問題があります。

    しかし、完全な機械語(バイナリ)のオブジェクト・コードの場合には、それ自体に著作物性が認められないと思います(人間が判断できる「創作的表現」に該当しない。)。他方、アセンブリ・コードのレベルであれば、認知できると思いますので、著作物性を認めることが可能ではないか、と考えられます。(なお、この点についての判例は見当たりません。)

    こうして、仮にオブジェクト・コードに著作物性がないとした場合、ソースを比較して侵害の有無を判断することになりましょう。

    ただ、そうなると権利者の保護に欠ける場合が想定されます。たとえば、オブジェクトから逆コンパイルしてソースを作出し、これにかなりの改変を加えて同一性を失わせ、同じようなオブジェクトを作成させることに成功した場合、もともとの権利者は、逆コンパイルをしてソースを作出したこと、及びこれに改変を加えたことの主張・立証を強いられることになりますが、その立証は事実上極めて困難になります。



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    カテゴリ:Ⅲ 著作権等知財及び名誉権     

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