資金決済法(前払い式支払手段)とゲームセンターにおけるメダルバンク、メダルキーパー

    ゲームセンターは、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(以下「風適法」)第2条の、性風俗関連特殊営業以外の風俗営業第5号に分類され、監督官庁である公安委員会の許可の下で営業を行っています。

    そのうちのいわゆるメダルゲームについては、風適法の各種ルールのうち、次の規制に服しています。
    客に貸し出したメダルなどを、営業所外に持ち出させること、あるいは預り証などを発行することの禁止(23条3項)

    現在の一般的な仕様のメダルゲームのメダルバンクやメダルキーパーは、指紋や静脈などとパスワードで本人確認をしてメダルを預かっており、預り証などを発行していないため、適法と解されています。

    しかし、資金決済法における前払い式支払手段においては、預り証等の書面発行は必ずしも要件ではないため、現行のメダルバンクやメダルキーパーでも前払い式支払手段に該当するかは別途検討を要するでしょう。


    資金決済法における「前払式支払手段」とは、次の4つの要件が全て備わっているものが該当します。

    (1) 金額又は物品・サービスの数量(個数、本数、度数等)が、証票、電子機器その他の物(証票等)に記載され、又は電磁的な方法で記録されていること。
    (2) 証票等に記載され、又は電磁的な方法で記録されている金額又は物品・サービスの数量に応ずる対価が支払われていること。
    (3) 金額又は物品・サービスの数量が記載され、又は電磁的な方法で記録されている証票等や、これらの財産的価値と結びついた番号、記号その他の符号が発行されること。
    (4) 物品を購入するとき、サービスの提供を受けるとき等に、証票等や番号、記号その他の符号が、提示、交付、通知その他の方法により使用できるものであること。

    以上の該当性をメダルバンクについて見ていきますと、
    まず(1)については当然に該当するでしょう。
    次に(2)については最も問題となるため後述します。
    また、(3)(4)はパスワードと指紋が「その他の符号」に該当することになると考えられます。

    さて保留した(2)ですが、この要件は、「対価が支払われている」です。
    一般にメダルを預る場合、多くはゲームで獲得したものが大半を占めることになります。そのため、殆どがゲームで勝って稼いだもの、つまり無償のものだから、要件を欠くのではないか、というところが問題であります。
    しかし、この要件に関して、次のような解釈が資金決済法の前払い式支払手段の解釈の公式ルールです。

    有償で発行している商品券と無償で提供する商品券とを区分管理できない場合
    「景品として無償で提供する商品券が、利用者にとって既発行の有償の商品券とデザインや印影等で区別できず、また、帳簿上でも区分管理できない場合には、その無償の商品券も有償の商品券と同様、資金決済法の適用を受けます。」

    そうすると、現状では、預けるメダルが購入したものか、ゲームで稼いだものかが判別できないため、上記ルールによれば、メダルバンクやメダルキーパーも資金決済法上の前払い式支払手段に該当する、と考えざるを得ないと思われます。

    そうすると、基準日にその預り残高が1000万円を超えていたら、届出が必要である、ということになりましょう
    (なお、支払手段が6か月以内という要件もありますが、メダル預りが6か月となっていても、利用の都度延長されることから、その除外要件は適用されません。)
    しかし、未使用残高の計算においては、最も高いレートで換算するため、例えば、最少購入価格が10枚100円のゲームセンターでは、メダルバンクの残が基準日に100万枚を超えると届出(プラス残高の半額を供託等)の必要が生じることになります。
    これは大変のゲームセンターで検討を迫られるかもしれません。

    今のところの対策として、購入メダルに色を分ける必要があるというのが検討の結論です。


    PS:他サイトの弁護士による紹介記事に、「有効期間が6か月以内にすれば資金決済法の制限はない」として、有効期限を設定したメダルバンクが法規制対象外とする論評がありますが、この6か月の制限は、使用するたびに6か月の期限が更新される場合には、適用されないと解されていますので(財務局見解)、注意が必要です。

    リンク→資金決済法上の前払い式支払手段発行者届出のポイント(課金制アプリと資金決済法の手続き)
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