FinTech業規制(登録、届出)の全体(仮想通貨、クラウドファンディング、PFM、ロボアドバイザー)

    FinTech業規制(登録、届出)の全体像

    2017年7月時点で国内のFinTechのプレイヤーは、筆者の独断によりますと次のようなものに分類されると思います。
    ①決済事業(又は収納代行業、エスクローサービス)ex)グーグルペイ、楽天、アマゾンなど
    ②送金業を含む小規模銀行業(資金決済法上の資金移動業) ex)ラインペイ
    ③仮想通貨(発行者型、P2P分散型の2パターン)  ex)課金制アプリ、ビットコイン交換取引所等の仮想通貨交換業
    ④融資(クラウドファンディング) ex)CAMPFIREなど購入型のほか、寄付型、投資型がある。
    ⑤投資   ex)ロボアドバイザー) 


    これから日本でも流行ると予想されるPFMツールは、家計簿アプリを基本にしつつ、上記のいずれかを適宜追加して付加価値を付けているものが多い。いわばFinTechの総合版のような立ち位置になると思われます。

    業規制(行政庁の登録、届出の要否)としては、次のようになります。PFMツールなどを検討している事業者のための参考として整理しておきます。


    ①決済事業
    【現在は業規制なし】

    決済事業は、サービスや物の代金を収納代行するわけですが、購入者から代金を預るわけではなく、販売者の代理として受領したことにする、という限りで、特に行政庁の規制にかかることはありません。ポイントは、購入者からお金を一時的にでも預るという法的構成を採ると次の資金移動業に該当してしまい、金融庁の登録を要することになります。そのため、グーグルペイ、楽天、アマゾンなどは販売者の代理として代金を受領している構成を採っており、購入者はこれら収納代行業者に支払った時点で、代金支払が完了された、という扱いにしています。この構成を採ることで金融業務としての監督がないサービスが可能になります。いわゆるエスクローサービスがこれに該当します。
    金融庁としては、将来的には、②と同じように、業規制で監督させたい意向があるようです。業界側がこれに抵抗しており、今のところは業規制の範囲外になっています。


    ②送金ないし小規模銀行業(発行者による払い戻し可能な仮想通貨)
    【資金移動業登録が必要(資金決済法)】

    リンク→資金決済法上の資金移動業の登録の内容(ポイント課金制アプリの送金サービス等)


    一回の取引額が100万円以下であれば、銀行業と同じように預金と払い戻しの業務を行うことができます。これが資金決済法で言う「資金移動業」です。この資金移動業、名前のとおり、Aさんから資金を預ってBさんに渡す、という業務を想定しますが、払い戻しができるのが特色です。その結果、銀行の3大業務のうちの2大業務である「預金」「送金」の業務ができるということになります。銀行の残る主要業務「融資」は含まれませんが、貸金業登録をセットにすることで、「融資」も行うことができ、結果、小規模ながらほぼ銀行と同様の機能が果たせることになります。
    一般にアプリでこのような資金移動業サービスを考えるとき、アプリ独自の通貨(仮装通貨)を発行して、貯めたり、増やしたり、送金したり、といったサービスが考えられるわけですが(ラインペイなど)、この場合仮想通貨であっても、払い戻しができるという場合には、③の仮想通貨の発行者型に言う前払い式支払手段には該当せず、この資金移動業としての届出をすることになります。他方、独自の仮装通貨(ポイント)を発行して、貯める、増やす、送る、といったことをするけれども、「払い戻しはできない」という場合には、資金移動業ではなく、下記③の払い戻しのない仮想通貨として前払い式支払手段発行者届出で足りることになります。このあたりの業規制の住み分けも、仮想通貨アプリのスタートアップにあたり要注意事項なことが多いです。


    ③払い戻しのない仮想通貨(課金制ゲームアプリなどの発行者型、ビットコイン等のP2P型の2パターン) 
    【発行者型は前払い式支払手段発行者届出、P2P型は取引所に仮想通貨交換業の届出が必要(資金決済法)】

    リンク→資金決済法上の前払い式支払手段発行者届出のポイント(課金制アプリと資金決済法の手続き)

    リンク→資金決済法上の仮想通貨交換業登録のポイント(ビットコイン、リップル、イーサリアム)


    課金ゲームアプリのポイント(魔法石など)に代表される仮想通貨は、払い戻しが認められていません。資金決済法上の前払い式支払手段は払い戻しを認めない形態の仮想通貨ですので、課金ゲームの多くはこのパターンに該当します。そのため、前払い式支払手段発行者届出による規制を受けることになります。これに対し、課金制アプリで払い戻しが自由にできるサービスを想定する場合は、銀行業類似となり、上記②資金移動業としての登録(届出よりも要件が厳しい)が必要なカテゴリになります。
    また、ビットコイン等のP2P分散型仮想通貨は、発行者(発行者は代金を受けて仮想通貨を発行する主体ということであって、開発者ではない)というものが存在しておらず、開発者のプラットフォームでマイニング報酬によりプログラム上通貨が発行される形態のものであるため、発行者に対する規制というものがそもそもありません。ただ、取引所については、近時資金決済法上の規制を受けることになり、仮想通貨交換業として届出制となりました。


    ④融資(クラウドファンディング)
    【株式投資型は第1種、少額ファンド型は第2種の少額電子募集取扱業の登録が必要(金融商品取引法)】

    リンク→ソーシャルレンディング・投資型クラウドファンディングの開業と業規制

    クラウドファンディングには、現在主流の購入型(投資に対して金銭以外のリターンがもらえる形態)のほか、寄付型、投資型があり、このうち、投資型については、債権投資型と株式投資型があります。

    まず、投資に対して金銭以外のリターンがもらえるという購入型(CAMPFIREなど)は、法的な立ち位置は、アマゾン、ヤフオク、楽天等のECサイトと同様であり、売買代金を「支援金」、商品サービスを「リターン」と呼んでいるにすぎないと言えます。
    そのため、このケースでは法律上の規制は今のところありません。

    また、寄付型については、贈与するだけですので、特に金融法上の規制はありません。

    これに対し、投資型については、証券会社と貸金業の類似業務となるため、金融商品取引法や貸金業法の規制がかかります。直接金融の仲介ということですから、市場の公正確保の要請や情報の非対称性からくるユーザー保護の要請が働くことになるわけです。
    これまで、債権投資(デットファイナンス)、株式投資(エクイティファイナンス)のいずれも、クラウドファウンディングには証券会社等と同様の金融商品取引業の登録が必要でしたが、最近の改正で参入規制緩和があり、少額電子募集取扱業が認められることになりました。株式投資については、第一種少額電子募集取扱業、また小額ファンド型については、第一種少額電子募集取扱業による登録によることになります。


    ⑤投資 ex)ロボアドバイザー) 
    【金融商品取引業者登録が必要(金融商品取引法)】

    ロボアドバイザーが最近流行り始めました。この場合、一般的には金融商品取引業(1種又は2種)の登録のほか、投資助言業登録、投資運用業登録を必要とします。ロボアドバイザーはいずれも証券会社が先行する分野のIT版のようなものですから、証券会社に比肩する登録が必要とされ、この点についてIT独自の参入規制緩和は今のところありません。





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